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《第9回・後半》陸山会事件公判傍聴記 ── 石川議員の女性秘書が出廷

昼休憩をはさみ、13時15分再開。午後は石川氏の秘書であるAさんが弁護側の証人として出廷する。Aさんは昨年1月26日に検察庁から証拠品の引き取りを理由に出頭を要請されたにもかかわらず、突然被疑者扱いされ、10時間に及ぶ「不意打ち事情聴取」を受けたことが週刊朝日で報じられて問題となった。午後の法廷では、問題となった事情聴取の様子を証言した。以下、おもなやりとりを中心に概要をまとめ、一問一答形式で掲載する。(── は弁護人、「」内はAさんの証言、※は筆者の補足)

── 聴取を受けた日は、何時に電話がかかってきましたか?

「9時半に電話がかかってきて、相手は民野と名乗りました」

── 職業は言いましたか?

「民野とだけ言いました」

── 民野氏は何と言いましたか?

「押収した資料を返却すると言いました」

── 取り調べについては言われましたか?

「言っていません」

── 確認はしたのですか?

「肩書きを名乗らなかったので心配になって、3回ほど確認しました」

── 出頭の時間の指示は?

「午後1時でした」

── あなたが出かけたときの服装は?

「すぐ帰れると思ったので、コートを着ないで出かけました」

── 持ち物は何か持って行きましたか?

「ランチバックみたいなものだけを持って行きました」

── 検察庁に着いて、民野氏は名乗りましたか?

「その時は身分証のようなものを見せました」

── その時、何を言われましたか?

「『何で呼ばれたかわかりますか』と聞かれたので、『資料の返却です』と答えたら『違います。○○の証拠隠滅で被疑者となりました』と言われました」

── 被疑者と言われてどう感じましたか?

「頭が真っ白になりました」

── 弁護士への連絡は?

「連絡をしようとしたら『その弁護士は選任の弁護士か』ときかれ、そうではなかったので『違います』と答えたら『電話してはダメだ』『弁護士が何になるんだ。石川が失敗したのは弁護士に頼ったからだ』と言われました。携帯電話も『音を消したらいいですよね』と言ったら、電源を切るように言われました」

── 取り調べでは何を言われましたか?

「『自分から話しなさい。こちらはあなたを逮捕できる情報があるのだから、自分から罪を認めなさい』と言われました。ずっと黙っていると『石川を守っているのなら愚の骨頂だ』『石川はすべての罪をあなたにかぶせようとしている』『石川の政治生命は終わる。石川を守る必要はない』などと言われました。

── そのときあなたはどのように思いましたか?

「この特捜部という組織は何をしようとしているんだろうと怖くなりました」

── 外部との接触をとろうと考えましたか?

「子どもの迎えができるかが心配になり、連絡を取ろうとしました。迎えは6時ですので、5時には帰らないといけないと思いました」

── 民野検事はそれを聞いて何と言いましたか?

「『あなた次第だ』と言いました。(帰る時間を)約束しようとしたら『そんなに人生は甘くない』と言われました。子どもの迎えにいけないことで、パニックになって泣いてしまいました」

── 証拠のようなものは見せられなかったのですか?

「通帳のコピーでしたが、誰のものかはわかりませんでした」

── 数字やお金の流れについては聞かれなかったのですか?

「日付と金額を言われたように思います」

── 事務官は証拠を取り出してきたことはありましたか?

「USBメモリーがありました。そのUSBメモリーは私のもので、プライベートの写真や家族の写真とかが入っていました」

── 民野検事はそのUSBメモリーをどうしましたか?

※Aさんは涙をこらえながら、震えた声で話しはじめる。

「内容を確認しながら『お子さんは女の子なんですね』『○○に旅行に行ったんですね』『この子は保育園で犯罪者の子どもって言われるんだろうね』と言いました・・・」

── 取り調べを受けているときに言われたことは?

「背もたれに背中をつけようとしたら、民野検事は机を叩いて『それが人の話を聞く態度か!』と言われました」

※その後、民野検事を振り切る形で弁護士と連絡をとったAさんは、午後11時ごろにようやく解放された。また、自宅に到着後、Aさんは右耳が聞こえなくなっていることに気づき、病院で「突発性難聴」と診断されたという。

── 取り調べに事務官はいましたか?

「はい。最初はPCを見ていたのですが、途中からその男性事務官は机の上に足を乗せて、寝ていました」

── それを見てあなたはどのように思いましたか?

「こういう人にも残業代が出ているのかなと思いました」(法廷で笑いがおきる)

── 取り調べの後に子どもたちに何か変化はありませんでしたか?

「子どもたちも急に母親が迎えに来なくなったので、私が朝、仕事に行こうとすると『ママ、いっちゃだめ!』としがみついてきたりしました」

── なぜ、あなたは取り調べを受けたのだと思いますか?

「いま思えば、私を長時間にわたって拘束することによって、石川にプレッシャーを与えようとしていたのだと思います」

引き続き、検察側による反対尋問。
(── は検察官、「」内はAさんの証言、※は筆者の補足)

── 1月26日の迎えは最終的に誰が行ったのですか?

「義理の母が行きました。午後8時ぐらいだったと思います」

── あなたは経理事務を担当していたのですか?

「はい」

── 1月26日の取り調べでは検察官に具体的に聞かれなかったということですけど、それは事実ですか?

「はい」

── 通帳を見せられませんでしたか?

「具体的な口座名などを言われなかったので、わかりませんでした。逆に私は(タミノ検事に)『見せてほしい』と言ったのですが、見せてもらえませんでした」

※検察側は、午前中の公判で吉田正喜検事が証言した、石川議員への1500万円のワイロの詳細がその通帳に書かれていて、それを質すためにAさんへの事情聴取を行ったと主張したいようだ

── 検察官に通帳の中身について聞かれませんでしたか?

「何も質問されていません。『自分から言った方が罪が軽くなる』と言われました。具体的なことを聞いてくれれば答えることができたのに、何も言ってくれませんでした」


※その後、検察官はAさんに対する2度目の取り調べについて尋問を始める。Aさんは1月26日の取り調べの後、1月末に2度目の取り調べを受けているのだが、Aさんと弁護側は検察から2度目の事情聴取について尋問を受けるとは予想していなかったようだ。検察側からは、2度目の取り調べの際に通帳や通帳をコピーしたものに書かれているメモの詳細について取調官から聞かれたことについて、「記憶にありません」などと答えに窮する場面が増える。Aさんは「2度目の事情聴取について聞かれるとは聞いていなかったので・・」と話すも、準備不足からか時おり弁護側の方に視線を向けるので、裁判官からも「弁護人を見ずに、記憶に従って答えてください」と注意される場面もあった。

最後に裁判官からの尋問。
(── は裁判官、「」内はAさんの証言)

── 午後1時に検察庁に入って、出られたのが午後11時だったのですか?

「はい」

── その間に具体的な質問はなかったのですか?

「はい」

── それでは取り調べの中身が何もないのではないですか?

「ですので、事務官が寝てました(法定内に小さな笑いがおこる)」

── それを午後1時から11時まで繰り返したのですか?

「はい」

以上で第9回公判が終了。いつものことだが、今回も密室で行われた取り調べの中身が問題になっているため、審理が「言った、言わない」の水掛け論に終始した。

以前にも述べたが、この裁判では供述調書以外の具体的証拠が乏しいため、検察側も弁護側も自分たちの正当性を裁判官に印象づける戦法をとっている。そのため、傍聴している限りでは公判で次々と出てくる事実についての認定が難しい。

ただ、ひとつだけ確かなことは、郵便不正事件で特捜部の強引な取り調べの実態が明らかになった以上、調書重視の日本の刑事裁判が転換点にきているということだ。今後の特捜部事件で「疑わしきは被告人の利益に」について日本の刑事裁判がどのように適用するかを決定づける意味でも、この裁判の行方が与える影響は大きいと思う。

※本記事に掲載されているやりとりは、筆者のメモを元に再構成したものです。

(《THE JOURNAL》編集部 西岡千史)
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ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

今回も有難う御座いました。内容を読む度に、コイツラ国のカネで東大で勉強し、国民のカネで仕事していて、何故これほどまで国民を踏み台にして出世しか考えない人生を過ごそうとしているのか?国民は大人し過ぎる、むしろ彼らは公僕として国民に奉仕せねばならないのに、政治も企業も、彼らをおだてすぎる。だから人間としての、本来の正義感を学ぶチャンスが無かったのだろうか。被疑者の真実を聞きだす努力こそ求められる立場を忘れて、自分達の正当性(間違った)にストーリーを作って、それを認めさせると言うきわめて稚拙な手法しか信じない東大とはこんな欠陥人間しか作れないなら廃止すべきだ。それを裁判官との交流まで遣って間違った司法処理をするとは情け無い国では無いか。これを救えるのは小沢氏しか居ない。私はそれを望んでいる。

毎回ご苦労様です。次回はいよいよ、新聞などでこれ見よがしに流されている5000万円の件ですよな。こちらも報道しか知らないので弁護側の反対尋問はどうであったのか知りたいです。運転手の日誌に記載がなかったのをどう言うのか、何故、当日の日程がつめつめなのか、何故第三者の立会い人を介さなかったのか、会ったこともない石川議員をどうやって本人と識別したのか、なぜ事前事後に大久保氏に確認しないのか、是非元社長言い分を聞きたい

編集部のみなさん、こんばんは
(いま5月1日pm8:10頃です)

>「『何で呼ばれたかわかりますか』と聞かれたので、『資料の返却です』と答えたら『違います。○○の証拠隠滅で被疑者となりました』と言われました」

>「『自分から話しなさい。こちらはあなたを逮捕できる情報があるのだから、自分から罪を認めなさい』と言われました。ずっと黙っていると『石川を守っているのなら愚の骨頂だ』『石川はすべての罪をあなたにかぶせようとしている』『石川の政治生命は終わる。石川を守る必要はない』などと言われました。

>「内容を確認しながら『お子さんは女の子なんですね』『○○に旅行に行ったんですね』『この子は保育園で犯罪者の子どもって言われるんだろうね』と言いました・・・」

>「背もたれに背中をつけようとしたら、民野検事は机を叩いて『それが人の話を聞く態度か!』と言われました」

もし、特捜の取調べが全面可視化されたら、タミノ検事はこうも好き勝手に高圧的な取調べができたろうか?
(容疑者だけでなく関係者への事情聴取も必要だということもこの傍聴記でよくわかる)

絶対優位な舞台で、自分のストーリーに強引に持ち込もうとする、その傍若無人な態度。
なんの罪のないひとに対してまでも彼らの毒牙は襲いかかるかもしれない恐ろしさを感じる。

ここで裁判官の冷静な判断を見せてもらいたいのと同時に、江田法相の「いまから全面可視化を試行せよ」という命令の完全履行を求めたい。
そのために僕たちもバックアップをしなければと思う。


第9回・後半分も詳細に有り難うございます。
検察側の行為を徹底的に叩ける決定的チャンスを中途半端にしよって。
女性秘書さんと検察側尋問の対策や打ち合わせなどしなかったのだろうか。
事前準備が全く出来ていないとしか言いようがない応対のようだが。
公判当初からそうだが、この弁護団はやる気がないのかただの能なしなのか、石川氏もいつまで放置しているのか理解に苦しむばかりだ。
今からでも遅くはない。早急に弁護団を解任し新たな体制を作られるよう望むばかりだ。

西岡 様

傍聴記を、ずっと、記事にして頂き感謝します。
Aさんと私のメールのやりとりを私のブログの【第19回】で紹介しましたが、案の定、検察官の悪行を暴くことにはならなかったように思います。
とても、残念でしたが、石川氏側近も、これにこりて、石川氏の『無罪』を公判で勝ち取ろうなどと考えないで、【第21回】で『公訴棄却』を実現する方向に作戦を変えることを期待したいと思います。

投稿者: o-hara | 2011年5月 1日 23:11 様

同感です。
そもそも、本事件は虚偽記載が逮捕理由であり、起訴理由(訴因)なのに、冒頭陳述以外は、収賄容疑等の別件が公判の内容となっています。
弁護人と検事がグルとなって公判を維持しているありさまです。
皆さんも、私の名前をクリックして、【第1回】の基礎資料等により、ご自分で調べて頂きたいと希望します。

西岡さんご苦労様でした。ありがとう。
それにつけても、法務大臣は何を考えているのでしょうか。こんな検察に何もできないとはまったく情けない。
全面可視化を義務づければ、こんな馬鹿なことが起きるはずがない。
15年ほど前に、大学生と話をしたときに、大学を入る目的が高級官僚になるという学生も多く、官僚になって、この国を裏から牛耳るのだと得意になっているということを聴いて背筋が寒くなったが、現実はまったくそのようになってしまった。それは先輩のおいしい部分を知り、受け継がれている。都合の悪い人を罪に陥れれば、頼んだ人、組織は充分に蜜を与えるのだろう。
こんな日本を続けてはいけないと強く感じる。人権を大切にする国にしなくてはいけない。

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