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安倍自民党は1人区を制するか

 安倍政権にとって今年最大の政治課題は参議院選挙に勝利する事である。今回改選期を迎えるのは07年の参議院選挙で当選した議員で、その選挙こそかつて安倍総理が自民党を惨敗に導き、09年の政権交代に道を開いた因縁の選挙である。それを回復しないと安倍政権は本当に勝利したとは言えない。

 昨年末の衆議院選挙の結果は自民党の勝利と言うより民主党の自滅だった。そのことは自民党自身が良く知っている。だから現状を「仮免状態」と位置付け、「本免許」を得るまでは慎重に「安全運転」で行こうとしている。そのため国民が望む「景気回復」に国民の目を集中させ、本当にやりたいことは衆参両院で過半数を得た後、安定した体制を作ってからと考えている。

 その参議院選挙を決定づけるのは1人区の勝敗である。1人区は全国に31ある。いずれも人口の少ない地方の選挙区で、07年の選挙では自民党は6選挙区しか勝てず、17選挙区で勝利した民主党に惨敗した。敗北の原因は小泉構造改革が大企業を優遇して経済成長を図った結果、都市と地方との格差が拡大したからである。

 一方では市民主義を掲げ都市型の政党と見られていた民主党が、小沢一郎氏が代表になったことで都市型から脱却し国民政党の装いをこらす事に成功したからでもある。その選挙で安倍自民党が「成長を実感に!」というキャッチフレーズを掲げたのに対し、小沢民主党は「国民の生活が第一」を掲げ、1人区で17対6の勝利を収めた。

 昨年末の衆議院選挙の特徴は史上最低の投票率を記録したことである。突然の解散で争点の整理がつかないまま小党が乱立し、有権者が判断しかねるうちに投票日を迎えた事が要因と考えられる。さらなる特徴は投票率の下落が都市部ではなく地方で大きかったことである。普段は選挙に熱心な地域ほど今回の選挙には行かなかった。

 前回と比べて投票率を最も下げたのは富山県で下落幅は17%、次が北海道で15%、次いで鹿児島、青森、福島、新潟、石川、高知、宮崎、岡山、熊本などいずれも13%を超える下落幅となった。前回の選挙で70%を超えるか70%近い投票率を示していた地域が軒並み50%台だったのである。

 これを参議院の1人区で見ると、沖縄の8.9%下落が最小で、最大の富山から沖縄までいずれも大幅に投票率を下落させている。いつもは選挙に熱心な1人区の有権者が今回の総選挙は棄権した。民主党に対する期待が裏切られ、さりとて自民党に投票する気にもならなかったのか、あるいは政治そのものに絶望したのか、投票に行かなかった1人区の有権者が次の参議院選挙でどのような投票行動に出るのかが注目される。

 09年の衆議院選挙で自民党を支援した業界団体は農協だけだった。それは民主党がアメリカとの自由貿易協定をマニフェストに盛り込んだからである。自由貿易協定の見返りに民主党は農家戸別所得補償を打ち出し、それが農協には自らの存在を否定される政策と映った。「自由貿易協定で日本農業は壊滅する」と叫び、農協は自民党を全面支援した。

 一方、小泉構造改革によって医療の現場からも不満が噴き出し医師会などが自民党から離れ、また公共事業の恩恵にあずかってきた建設業界は、民主党政権誕生の可能性がある事から積極的な自民党支援を行わずに様子見を決め込んだ。

 自民党が次期参議院選挙で1人区を制するためにはこれら業界団体を味方に引き入れなければならない。そこで打ち出されたのが大規模公共事業プロジェクトである。これが地方経済活性化のカギになると自民党は大々的に宣伝する。しかし過去の経験から大規模公共事業によって潤うのは大企業であり地方でない事が分かっている。ただそのことが実感できるには時間がかかるので参議院選挙までは期待を抱かせる事が出来るかもしれない。

 問題はアメリカとの「同盟強化」を打ち出した安倍政権の姿勢である。「同盟強化」が日本の国益のためなら良いが、日本の国益とアメリカの国益が重なり合うとは限らない。特に冷戦後のアメリカは日本を安全保障上の「弱い環」とみて、安全保障と絡めて日本から経済的利益を吸い上げようとしている。

 それが宮沢政権以来突きつけられてきた「年次改革要望書」に現れた。鳩山政権がこれを廃止すると、アメリカは今度はTPPへの参加を要求してきた。TPPは経済的な国境をなくすことを目的に、アメリカンスタンダードに各国を巻き込もうとするもので、中国や韓国、インドネシアなどは不参加を表明している。自民党議員の多くも「反対」を訴えて今回の選挙を戦った。アメリカの要求に応えて参加に前向きになれば農協や医師会が反発する事は必至である。それは1人区の選挙に強く影響する。

 鳩山政権が「年次改革要望書」を廃止した事でアメリカの不興を買い、普天間問題できりきり舞いさせられたのを見て、菅政権や野田政権はTPPに前のめりの姿勢を見せた。「日米同盟強化」路線を採る安倍政権がこれまでの政権とは異なり「対米従属」でない事を見せられるかどうか、参議院1人区の選挙はそれにかかっている。

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コメント (5)

新党日本の「ニッポン維新」コラムで田中さんの「2009年政権交代の総括」が始まりました。新党日本でもザジャーナルでもいいですが、出来るだけ早いサイクルで総括をまとめてほしいと思います。

結局「大政局」は不発に終わったのでしょうか? 安倍晋三も総裁選の時は最初から下馬評が高かったわけではないし、あれよあれよという感じ。厭味な池田信夫みたいに「55年体制の復活」を嘯く向きすらあります。
それこそ、最悪の落としどころでしょう。もう経済成長の飴をしゃぶらせることなどできないのに。

民主政治的手段ではない形でないと1946年に誕生した「日本国」は次の代に脱皮できないのでしょうか?

そうなんですね。

地方=1人区の票は、財界や米国の思惑とは別に動くんです。

それは、マスコミの虚像である「維新」などではなく、本物の味方を求めて、彷徨っている。

それは・・・
本物の、地方の味方を探し求めている、決して自民に欺かれることは・・・・二度と無い。


次の参議院選で、本当の地方主義者を、一人区は捜し当てるだろう。

田中良紹様
今日の朝刊で、公務員の新卒抑制を自民党はやめると言い出した。
記事には、公務員の人件費削減のためと記載されていたが、実質的には公務員を定年まで雇用して天下りさせないためである。新卒よりベテランの方が給料が高いので、新卒抑制すれば人件費は高くなる。従来、早期退職した公務員は天下りする監修があった。しかし、いわゆる渡りで退職金を複数もらうことが問題視され、定年まで雇用することが提唱された。
自民党は新卒抑制をやめる、すなわち天下りを復活させる気だ。
福島瑞穂社民党党首も賛同したそうだ、国民を馬鹿にするのも、いい加減にしてくれ!

結果的に自民党が一人区は制してしまうんでしょう。
今の民主党では野党を結集する力はありません。
維新は一時的なブームに乗っているだけで参議院でも民主に次ぐ第三党でしょう。
小沢さんは小さな小さな党で力を発揮するだけのパワーはありません。

と言う訳で常識的には自民が圧勝することになるのでしょう。

いまや政治にはほとんど関心がなくなりました。

小沢さんに一縷の望みをかけてはいますが・・・

しかし・・・・どうでしょう?
今、自民党は刻々とその正体を国民の前に顕し始めています。

電力業界の発送電分離案の撤回は、自民政権に後押しされての電力業界の発言ですし、モチロン原発再稼働も推進されますし、国民間の経済格差は拡大しますし・・・。

参議院選挙では、国民のマスコミ信仰がどの程度なのか判明するのでしょう。

国民がバカなら、それに対応する世論形成を画策し、国民をだましながら国民を幸福に導いてゆく・・・・、そんな政治が必要なのでしょう。

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Profile

田中良紹(たなか・よしつぐ)

-----<経歴>-----

1945年宮城県仙台市生まれ。
1969年慶應義塾大学経済学部卒業。
同年(株)東京放送(TBS)入社。
ドキュメンタリー・デイレクターとして「テレビ・ルポルタージュ」や「報道特集」を制作。また放送記者として裁判所、警察庁、警視庁、労働省、官邸、自民党、外務省、郵政省などを担当。ロッキード事件、各種公安事件、さらに田中角栄元総理の密着取材などを行う。
1990年にアメリカの議会チャンネルC-SPANの配給権を取得して(株)シー・ネットを設立。
TBSを退社後、1998年からCS放送で国会審議を中継する「国会TV」を開局するが、2001年に電波を止められ、ブロードバンドでの放送を開始する。
2007年7月、ブログを「国会探検」と改名し再スタート。

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-----<著書>-----


『裏支配─いま明かされる田中角栄の真実』
2011年1月、電子書籍


『メディア裏支配─語られざる巨大マスコミの暗闘史』
2005年3月、講談社

-----<編書>-----


『憲法調査会証言集─国のゆくえ』
2004年7月、現代書館

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