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2012年3月19日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.34

何故、"森里海連環学"なのか ―文化教室で会いましょう―

フランスでは高校で、午前中は座学、午後は森へ行くというプログラムが試みられているそうだ。カナダでは医者たちが真剣に、「子どもたちに野外で学ぶことが足りない病」というのを研究しているという。

私がこの連載で紹介してきた「森里海連環学」は、2003年に京都大学で誕生した。ヒラメの研究者と、人工林の研究者竹内典之先生が、「21世紀は、20世紀が失ったものを取り戻す学問が必要」と考えられたのだ。

私は、島根県では高津川流域でこの学問を竹内先生と広めてきた(高知県では仁淀川流域で、そして北海道では紋別市でも)。

この連載に「自然に学ぶ」と付けたのは、森と川と海の連なりやつながりを取り戻すための学問こそ、自然の中で体感し、会得してもらいたいと考えたからだ。

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2012年2月28日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.33

再生エネ立国の現状 ―デンマーク紀行―

1月22日から、デンマークへ行ってきた。

世界規模で起こった1970年代の2回のオイルショックがあって、ヨーロッパはじめ世界各国は原発開発を進めた。その中で、九州とほぼ同じ面積のデンマークでも15個の原発計画が作られていたが、ロラン島に計画されたものに住民が強く反対し、国との話し合いのために、73年に委員会が設置された。

話し合いの結果、代替エネルギーとして「風力発電」が選ばれた。以来、デンマークからは原発計画が全くなくなった。

そのロラン島に行ってみると、島は、「風力」だけではなく、「R(リニューアル)水素」「畜産糞尿(ふんにょう)からのバイオガス」「藁(わら)を中心とするバイオマス(木質)」などの発電の開発先端都市になっていた。

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2012年1月14日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.32

総合特区に当選―「森里海連環」思想で

昨年12月22日に、今年4月から始まる国の事業・内閣府「総合特区」の当選事業体が発表され、島根県高津川流域の「益田地域広域市町村圏事務組合」(益田市、津和野町、吉賀町)が全国26カ所の一つに選ばれた。

「総合特区」とは、地域の包括的なチャレンジを、規制の緩和、税制と財政と金融措置による支援をして、効率のよい発展が地域でできることを目指すもの。

高津川では、京都大学が2003年より提唱している「森里海連環学」が総合特区を考える上で採用され、申請タイトルは「森里海連環高津川流域ふるさと構想」とされた。

私は06年にこの「森里海連環学」を高津川流域の皆さんにお伝えし、この連載のタイトルにもなっているし、同名のカルチャー教室も高津川流域で展開してきている。

そのご縁から昨年、「総合特区」が本年に誕生することをお教えして、このたび、見事当選したというわけだ。


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2012年1月 4日

2012年、皆様のご多幸をお祈りします。

3.11震災後は毎日TVを見て、「自分に何ができるか」を考えていました。08年に養老先生とつくった「日本に健全な森をつくり直す委員会」としてのお見舞いを6月に林野庁の協力で実行。岩手県の吉浜地区に入ると、明治期以降の3度の大津波の教訓から、集落を高台に移していたのが功を奏し、被害者が出ていませんでした。その後、石巻に行くと、外材を輸入するため県などが埋め立て地に造った工業団地に入っていた「セイホク」で被害が甚大でした。

ニコルさんより、宮城県東松島市の「復興高台移転」に委員会として力を貸してほしいとの依頼があり、林野庁が菅直人前総理の支援で進めている「復興の中での木質バイオマスシティづくり」をここで進めればよいと思い、進めています。

09年に委員会が協力して林野庁がつくった「森林・林業再生プラン」の"川下"を考えるため、養老先生の「現代の"参勤交代"論」を「二地域居」政策として追求しようと、「島根県高津川流域の皆さまにお薦めしていた「総合特区」が、当選しました。

「関東大震災並みの大地震が来たら、日本人が鬱になって、また戦争に向かわないか?」が養老先生の心配事でした。「意外と早く来てしまった地震に加えての原発事故が日本人を賢くした」と、いつか思いたいものです。

2011年12月18日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.31

写真集「高津川」 ―大規模なダムがない?―

島根県の高津川の3度目の「清流日本一」のお祝いに、写真集「高津川」が出版された。

美しい写真は地元のフォトクラブ、落ち着いた文章は地元NPOの方々の執筆で、見て読んで楽しい一刊に仕上がっている。

ただし、2点だけ残念に思うことがある。発刊に努力された方々には、気を悪くされずに読んでほしい。

私は、2003年に「日本の名河川を歩く」(講談社+α新書)という一刊をつくるため高津川を初めて訪れた。

全国の天然アユが溯(さかのぼ)る河川を調べると91カ川しかなく、その中から10本の名川を選ぶため、10項目各5点ずつの採点をした。「ダムがない」「水質がよい」「川魚を食べる文化が残っている」などの10項目で、高津川は43点を取り、日本一になった。

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2011年11月20日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.30

三賢人との対話 ―キーン先生"森の仲間"に―

ドナルド・キーン先生が日本国民となることを決意され、帰ってこられた。アメリカ人で、日本文学と日本文化の美しさを、世界への"懸け橋"として最も的確に紹介してくださった先生はこれまで、日本と母国を往復する生活をなさっていたが、今年の1月に東京で入院され、その時に「最後に過ごすのは日本」と考えられていたそうだ。

3月11日に三陸の津波の映像をアメリカで見られ、「日本国民を励ましたい」と思われて、日本国籍の取得を発表された。

「フクシマ」原発の爆発で、多くの外国人が日本から逃げ出した。その時、C.W.二コルさんは、「僕は、絶対逃げ出さない。僕は日本人だからね」とおっしゃった。

その後、キーン先生の日本国籍取得が発表された時に、喜んだのが二コルさん。二コルさんは2002年に、キーン先生との対談本「ボクが日本人になった理由(わけ)」を出版されている。イギリスのウェールズに生まれたニコルさんが1995年に日本人となられた理由(わけ)と、今回キーン先生が日本人になられた理由(わけ)は、同じではないだろうか。お二人とも、日本人はもっと自国の文化や自然を大切にしてほしいと考えておられると思う。

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2011年10月23日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.29

耐震改修大勉強会 ―高知は山に家をつくる―

国土交通省住宅局の中に、「"木の家づくり"から林業再生を考える委員会」をつくっている。2009年12月に「森林・林業再生プラン」ができ、「10年後に木材自給率を今の倍以上の50%にする」ことが目標にされたが、林野庁の委員会では、その材の出口が考えられていなかったからだ。

この委員会は、養老孟司先生を委員長とし、私が委員長代理を務め、「耐震改修を進めること」、「二地域居住を進めること」をテーマにした。

そして、その活動の中から、今度は「"木の家"耐震改修推進会議」をつくっていった。今年1月17日に神戸では、阪神大震災から16年目のメモリアルとして、「耐震改修大勉強会in神戸」を開催して、1千人の大工・工務店・設計士・建築家の皆さんを集めた。

この10月9日には、その二回目として、南海地震が予想されている高知で、「耐震改修大勉強会in高知」を行い、「推進会議」の議長である養老先生や、日本一の地震学者で京都大学の前・総長であられる尾池和夫先生においでいただいて、600人を集めた。

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2011年10月16日

お知らせ:国際森林年記念会議「"森林・林業再生"から見えてくる、日本の未来」

10月25日(火曜日)、日本経済新聞社と農林水産省との共催により、2011年国際森林年記念会議「"森林・林業再生"から見えてくる、日本の未来」が開催されます。

日本の国土の約7割が森林 ─わが国は世界第3位の森林率を誇ります。しかしこの森林資源を積極的に活用してこなかったため、日本の林業は衰退し、森林は荒廃しています。この国際森林年記念会議では、森林・林業の再生を通じ、震災からの復興に向けた新たな国づくりについて議論します。林業を通じた地域振興、森林からの創エネルギー、地球温暖化防止など、森林が持つ様々な可能性を国と企業の視点から探ります。
(尚、参加申し込みはすでに締め切られています)

日時:平成23年10月25日(火曜日)13時~16時45分(12時30分開場)

会場:日経ホール(東京都 千代田区 大手町 1-3-7 日経ビル3階)

http://adnet.nikkei.co.jp/e/event.asp?e=00569

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2011年9月19日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.28

SEA TO SUMMIT ―高津川を遊びつくせ!―

「"SEA TO SUMMIT"in高津川」が今月23、24日の両日、島根県の高津川流域で開催される。

SEA(海)からSUMMT(山の頂)までの55㌔をカヌー、自転車、走りで駆けるこのイベントは、大阪が本社の世界的アウトドアウエアメーカー「モンベル」社の辰野勇会長が発案し、3年前から全国で始まった。

高津川河口から海へカヌーで漕(こ)ぎ出し、上流へ10㌔。次は自転車で35㌔。ブナ林の安蔵寺山ステージでは秋の訪れが始まっていることだろう。73チーム171人の選手が全国から出場する。

昨年は、大会後の抽選会でシーカヤック(カヌーの一種)をゲットした吉賀町役場チームは、今年はその艇で出場。益田市の福原慎太郎市長は2人乗りのカヌー。自転車は市長、安蔵寺登山は秘書が挑むそうだ。2人は完走できるだろうか?

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2011年8月11日

自然に学ぶ「森里海連環学」のすすめ

山陰中央新報連載 自然に学ぶ"森里海連環学"のすすめNo.27

再び「清流日本一」に! ―"森里海"の連環を取り戻そう―

2007年、08年の発表では連続して「日本一」になっていた高津川が今年、再び「清流日本一」に返り咲いた。

「日本一」になれなかった09年に、流域の島根県吉賀町の婦人会は、川の漁協、森林組合、行政と協力してEM(有用微生物群)団子を作り、川に投入するという活動を始めた。

EM使用は、以前より旧柿木村では有機農業から始まってきており、婦人たちは、風呂や台所からもEM活性液を投入していた。津和野町でも、婦人部が続けてきていた。

「再び、清流日本一を」は、この数年、高津川を愛する人々の共通の想(おも)いであった。「EM」については、理解ができない方もいらっしゃるようだが、「納豆」や「味噌(みそ)」を作るのと同様の自然界の力を結集させたものであり、マイナス作用があるとは思えないが、使い続けなければ、水質に変化を起こすほどの効果は出ないというものだ。

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Profile

天野礼子(あまの・れいこ)

-----<経歴>-----

アウトドアライター。
1953年、京都市生れ。
中、高、大学を同志社で過ごす。
19才より釣りを始め、文化人類学者の今西錦司博士の主宰された「ノータリンクラブ」に属して、国内外の川、湖、海辺を釣り歩く。
26才より小説家、開高健に師事。
1988年には師と共に長良川河口の堰建設反対に立ち上がり、「ダムは不用」の国民世論に育て上げる。
近年は「川を再生するには森を生きかえらせることが必要」と“森仕事”へ視野を広げて、日本の森から材が出る社会システムを作り直すことを各地で提案している。
京都大学が2003年に構築した「森里海連環学」の普及もお手伝いするため、高知新聞社と山陰中央新報社でカルチャー教室「自然に学ぶ“森里海連環学”」を続けている。
2001年より、高知県・仁淀川の源流にも家を借り、有機農業普及のための「高知439国道有機協議会」を07年に立ち上げて、事務局長を務めている。08年7月に養老孟司氏らと「日本に健全な森をつくり直す委員会」を設立した。

BookMarks

オフィシャル・ウェブサイト
http://www.uranus.dti.ne
.jp/~amago/


長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
http://nagara.ktroad.ne.jp/

公共事業チェックを求めるNGOの会
http://kjc.ktroad.ne.jp/

日米ダム撤去委員会
http://damremoval.com/

市民版憲法調査会
http://www.kenpou.com/

-----<著書>-----


『“林業再生”最後の挑戦』
2006年11月、農山漁村文化協会


『だめダムが水害をつくる!?』
2005年10月、講談社+α新書


『「緑の時代」をつくる』
2005年5月、旬報社


『ダム撤去への道』
2004年5月、東京書籍


『日本の名河川を歩く』
2003年7月、講談社+α新書


『市民事業』
2003年4月、中公新書ラクレ


『ダムと日本』
2001年2月、岩波新書


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